中空床版橋用 挿入孔付円筒型枠

はじめに

中空床版橋のコンクリート打設では、逆打ちとなる円筒型枠下面においてジャンカが発生しやすく、一般的には打ち込み場所の反対側に、コンクリートが押し出されたのを目視確認しながら打設を行います。しかし、生コンのワーカビリティーが悪い条件では、反対側へのコンクリートの押し出し確認が不充分のまま、もう一方より打設せざるをえない状況も想定されます。

問題点としては、
①中空床版橋の円筒型枠の下側は、通常のフレキシブルタイプの内部振動機の挿入が難しい
②長尺の棒状振動機による斜め挿入を行ってもシース配置によっては挿入出来ない区間がある
③実施工(特に夏季施工)においては、打ち重ね時間が長くなることで一体化が難しく、この影響は円筒型枠下面において顕著になる。

こうした背景から、中空床版橋では充填性の改善が強く望まれています。そこで、従来の円筒型枠を改良し、上下に内部振動機用の挿入孔を設けることで、下面側の閉め固めを可能にし、コンクリート充填性の改善をはかりました。また、この製品は実物大供試体による実験にて、挿入孔の逆止弁機能や施工性能について確認しております。


製品の概要と特長

「挿入孔付円筒型枠」は、円筒型枠の上下に、内部振動機挿入用の穴をあけることで、円筒型枠下側の逆打ち箇所に直接振動機を挿入することができ、コンクリートの充填性が改善されます。また、打設高さの上昇にともなう、コンクリートの円筒型枠内への流入を防止するため、逆支弁が設けられています。

「挿入孔付円筒型枠」は、以下の特長を有しています。

  • 挿入孔を使って、円筒型枠下面の充填性を改善できます。
  • 挿入孔の配置間隔は、原則500mm で設計されます。
  • 振動機には、長尺棒状の内部振動機を使用します。
  • 挿入孔内径は約90mm の為、振動機が楽に挿入できます。
  • 底の弁は逆支弁構造のため、コンクリートの過度な流入を防止します。
  • 流入物はガイド筒内に納まる設計で、標準で0.3(ℓ/孔)程度です。
  • 筒からのオーバーフロー防止用に、治具で専用キャップを取付けます。
  • 円筒枠上面蓋の取付けは、簡単にテープ留めで行えます。

施工試験

■試験条件
実橋を模擬した供試体を製作し、円筒型枠の片側半分には挿入孔を取り付け、コンクリートの充てん性の違いについて確認しました。また、コンクリートにはスランプ8cm 以下の比較的硬練りのコンクリートを使用しております。


■実験状況


■実験結果
打設後、供試体を切断した結果、写真のように挿入孔の有無による充てん性の違いが確認されました。


■曲げ載荷試験

本製品は旧道路公団規格(JHS 401)による曲げ載荷試験を実施し、従来品と同等の変位量であることを確認しております。

販売元: 橋梁技建㈱本社 (担当:杉本) 愛知県北名古屋市中之郷栗島46番 TEL:0568-25-5888 FAX:0568-25-5885
製造元: ㈱水龍工業 (担当:鈴木) 静岡県富士市岩淵1552 番7 TEL:0545-56-2666 FAX:0545-56-2667
技術支援:オリエンタル白石㈱技術研究所(渡瀬) 栃木県真岡市鬼怒ヶ丘5 TEL:0285-83-7921 FAX:0285-83-0021
    〃   東京支店 (阿部) 江東区豊洲5-6-52 NBF 豊洲キャナルフロント2F TEL:03-6220-0654 FAX:03-6220-0655